監査・レビュー・デューデリジェンス 会計士が行う主な業務の内容

会計士の主な仕事内容には、「監査」、「レビュー」、「デューデリジェンス」といったものがあります。

いずれも決算書や帳簿を確認し、対象となる会社を調査する業務ですが、それぞれ目的や作業内容には違いがあるため、整理をしておきたいと思います。

(上野の西郷どん)

会計士が行う「監査」、「レビュー」、「デューデリジェンス」

会計士は試験に合格し、監査法人に就職する人が大半ですが、そこで行う業務は、文字通り「監査」の仕事です。

監査は、会社が作成する決算書とその根拠となる帳簿や証憑を確認し、適正に決算書が作られているかを判断して意見を伝える業務です。

会社は株主からお金を預かり、そのお金を元手に事業を行うので、お金を出してもらった人たちに1年間でどれだけ儲かったのかを報告する義務があります。

もしその決算書に嘘が混じっていた場合、お金を預けていた株主は損をする可能性があるので、それを防ぐために第三者である監査法人がチェックをします。

また、レビューとは、監査の手続きを簡素にしたもので、1年に1回行われる監査に対し、レビューは一般に四半期ごと(3ヶ月ごと)に行われます。

監査とレビューは、作業レベルに差はあるものの、決算書が正しいかどうかを判断するという点で目的は同じものです。

一方で、これら監査やレビュー以外で会計士が行うことが多い業務に、「デューデリジェンス」というものがあります。

「デューデリジェンス(Due Diligence)」とは、直訳すると「正当な注意」といいますが、M&Aや事業再生を行う際、対象の会社にどれだけの価値があるのかを、決算書やその他の資料を精査して算定する業務です。

デューデリジェンスには、法務デューデリジェンスや事業ディーデリジェンスなど様々な種類がありますが、一般的に会計士が行うのは、財務デューデリジェンスと呼ばれるものです。

「監査」、「レビュー」、「デューデリジェンス」いずれの業務も、会社が作成している決算書やそれに付随する帳簿などを調査する業務ですが、似て非なる業務でもあります。

「監査」、「レビュー」、「デューデリジェンス」の相違点

「監査」、「レビュー」、「デューデリジェンス」、この3つの違いは「お墨付きを与えるのか否か」という点にあります。

監査とレビューは、会計士が調査した結果、決算書が適正であるという意見を出します(これを保証業務といいます)。

一方、デューデリジェンスは、適正かどうかという意見は求められない業務です(非保証業務といいます)。

具体的な違いは、以下の3点です。

誰のためにやるのか

監査やレビューの場合、その会社に投資をした人が損をしないために行うものであるため、株主や債権者のために業務を行います。

監査法人にとって、監査をする会社は報酬を受取る相手ではありますが、原理的にいえばクライアントではなく、監査法人にとってのクライアントはその会社の株主です。

一方、デューデリジェンスは、調査の対象となる会社のために行います。

事業再生であれば、その会社に再生の見込みがあるのかを調査しますし、M&Aであれば買収する会社がいくらで会社を買えばいいのかを判断するために、デューデリジェンスの結果を使います。

そのため、デューデリジェンスを行う場合のクライアントは、調査をする会社自体になります。

このように、監査(レビュー)とデューデリジェンスとでは、クライアントの定義が異なり、誰のためにやるものなのかという点で違いがあります。

実施する手続き

実際に行う業務の内容にも違いがあります。

監査やレビューの場合、決算書が正しいのかどうかを判断する必要があるため、調査する内容によってはかなり詳細に調査をします。

帳簿に記載されている支払金額と実際の請求書との金額が一致しているのか、そして実際に支払いがされたのかを通帳を見て確認することもあれば、取引先に売掛金などの債権がある場合には、実際にその取引先に残高を照会するなどといった調査を行います。

一方、デューデリジェンスの場合には、実際の請求書を見に行くということまではあまりせず、帳簿の推移を分析したり担当者にヒアリングするといった業務にとどまります。

デューデリジェンスは、専門用語で「合意された手続き」に分類される業務で、会社が提供する決算書などの資料はある程度正しいという前提で調査を行うため、業務の内容にも違いがあります。

提供する情報

監査やレビューの場合、調査を行った結果は「監査報告書」あるいは「レビュー報告書」という形で外部に公表されます。

そこには会社が作成した決算書は正しい(or正しくない)といった意見や結論が記載されており、「決算書が適正であるか否か」という情報が提供されます。

一方、デューデリジェンスを行った結果は、業務によって様々で一様ではありません。

M&Aのためのデューデリジェンスであれば、調査した会社の価値はいくらなのかが結果になりますし、事業再生であれば今会社を清算したとしてどれぐらい借金が返せるのかといった情報が提供されます。

必ずしも決算書が正しいか否かの情報ではなく、財務に係る意思決定に必要な様々な情報を提供します。

監査の経験豊富な会計士はデューデリジェンスもできるのか

以上のように、監査・レビュー・デューデリジェンスは、いずれも会社の実態を調査するという点では似ている業務ですが、目的や手段、アウトプットされる情報には明確な違いがあります。

そのため、監査の経験豊富な会計士であれば、デューデリジェンスもできるかといえば、必ずしもそうではありません。

デューデリジェンスの場合、「何のためにデューデリジェンスをする必要があるのか」をまず定義しなければなりませんが、監査の場合には、その必要はありません。

監査では、決算書が正しい否かを判断するという点で、業務の目的が不変だからです。

この点を理解せずに、デューデリジェンスを監査の簡易版というように考えている会計士がデューデリジェンスを行うと、調査結果は的外れなものになる可能性が高いです。

その会社には何が課題としてあって、何を調査し、そして何をアウトプットする必要があるのかを最初に定義しなければ、デューデリジェンスは意味がありません。

会計士といっても、監査をあまりやっていない会計士もいますし、逆に監査しかやっていない会計士もいます。

それぞれのタイプによって、監査が得意な人、デューデリジェンスのような非監査が得意な人がいるため、会計士であってもその人が何ができる専門家なのかを見極める必要があります。


【編集後記】

2/25(月)、26(火)と連続で終日お客様の会社で決算支援作業。

日中はその作業に時間を使っているため、なかなかブログの更新がうまくできていません。。。

まあそれも言い訳でしかないですね。時間を有効に使っていきたいです。