「早く人を雇って事務所を借りれるぐらい大きくしていきましょう!」⇒私「あ、まあ…はい、そうですね…」

このやり取りを独立してから何回もしてきました。

会計事務所向けのセミナーや交流会に参加すると、事務所の規模を拡大することが誰もが目指す方向性であるかのように話が進みます。

私は今のところ人を雇うつもりはありませんし、事務所を借りるつもりもありません。

コスト的に固定費になるものをできるだけ抑えたいというのもありますが、私が開業するうえで目指す方向性とは違う気がするからです。

なので、冒頭の見出しのように、何とも微妙な返答に終始してしまいます。

「年間100件の顧問獲得に成功!」そう聞いてどう感じるか

ある会計ソフトのセミナーで、成功している会計事務所のロールモデルが紹介されました。

その会計事務所は、新しい会計ソフトを導入することで業務を効率化でき、それまで20件程度だった顧問先が100件にまで増加し、事務所を大きく成長させることに成功したとのことです。

年間で100件など一人だと絶対に回せません。

もちろんアシスタントとか税理士受験生などを雇って回しているのでしょうが、この「成功モデル」を聞いて、大きく拡大させたことはすごいなと思いましたが、自分もそれを目指そうとは思いませんでした。

100件も顧問先がいるとなると、自分の目が届かなくなるお客様も出てくるでしょう。

スタッフが毎月試算表を作成し、申告のときもスタッフが申告書を作成し、最後に代表が押印だけする、というような状況にもなるかもしれません。

以前税務相談で訪問したお客様は、代表の税理士には名刺交換をしてから1回も会っていないとおっしゃっていました。

お客様がそれに不満を持っていないならそれでもいいのかもしれませんが、私個人としては、少しさみしい気がします。

数はそれほど多くなくても、自分の目の届く範囲でしっかりと向き合って仕事をしたいと思います。

ひとりでやっているからこその価値もある

また別の税務相談のお客様からは、税理士である私が直々に相談を受けるということで喜んでいただいたこともありました。

一人しかいないので私が相談を承るのは当たり前なのですが、一人でやっているからこそ提供できる価値もあるのだろうと思います。

お客様によって、どこに満足を感じるかは異なります。

行列のできるラーメン屋を見て、「行列ができるほどの店だからさぞかし美味しいにちがいない」と自分も行列に加わるお客さんもいるでしょうし、逆に行列ができているとそのお店に行くことを避けてしまう人もいるかと思います。

いろんなお客様がいるなかで、自分がどういう人と仕事をしたいかを主体的に考えて行く必要があると思います。

ラーメン屋の例でいうと、私はどちらかというと後者の方で、あまり行列ができている店は好きではありません。なので、私も事務所を運営していくにあたっては、あまり仕事を詰め込みすぎないようにしたいと思っています。

仕事で溢れかえって、お客様との接点をないがしろになってしまわないようにしたいからです。

冒頭のセミナーでの話のように、規模を拡大してお客さんをどんどん取っていくというのが会計事務所の成長モデルの多数派だとは思いますので、少数派は少数派なりの戦い方で生き残っていきたいと思います。

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一人で開業していることはメリットにもなる。


【編集後記】

3/5(火)は終日お客様の会社で決算支援作業。

だいぶ暖かくなってきて、春が近くなってきました。

来月には新元号が発表されて、2ヶ月後に平成がもう終わってしまうんですね。。。ギリギリ昭和生まれの世代として感慨深いものがあります。