僕は農耕牧畜民ではなく、狩猟採集民となることを選んだ(「サピエンス全史」書評)

「サピエンス全史」という本を読みました。

上下巻合わせて500ページを超える分厚い本ですが、これから独立会計士として生きていくうえで背中を押される内容でもありました。

サピエンス全史(上)

本の内容は、135億年前の「ビッグバン」によって宇宙が誕生してから、生命が誕生し、僕たち人類であるホモ・サピエンスが活動する現在までの歴史を紐解いたものです。
この本によれば、この地球の歴史は「認知革命」、「農業革命」、「科学革命」の3つの革命が大きく方向性を決めており、それぞれの革命がどのように歴史に影響を与えたのかについて、上下巻にわたって語っています。

特に興味深かったのは、今から約1万年前に起こった「農業革命」に関する内容です。

農業革命は人類を幸福にしたのか?

約1万年前、それまで野生の植物の採集や動物の狩猟によって生き続けた人類が、小麦を栽培し、ヤギを家畜化し、それらの動植物の管理をすることに時間と労力を注ぐようになります。
それまでの、その日必要な食糧を野生の植物や動物を狩ることで確保してきた「狩猟採集社会」から、農耕・牧畜によって人工的に生命を操作し、食糧を安定的に確保・貯蔵する「農耕牧畜社会」への生活様式の大きな変化が「農業革命」です。

これまでの学説では、「農耕牧畜社会」の到来によって食糧を安定的に確保することができ、人々はより豊かで幸福な生活を送ることができるようになったと言われていました。
しかし最近の考えでは、農耕への移行によって格差が生まれ、むしろ人々の生活はより過酷になったと考えられています。

小麦は非常に手がかかった。岩や石を嫌うので、サピエンスは汗水垂らして畑からそれらを取り除いた。小麦は場所や水や養分を他の植物と分かち合うのを嫌ったので、人々は焼けつく日差しの下、来る日も来る日も延々と草取りに勤しんだ。・・・(中略)・・・
私たちが小麦を栽培化したのではなく、小麦が私たちを家畜化したのだ。

農耕牧畜の生活様式に変化することにより、人類全体の人口は大幅に増加しましたが、個々の人々の生活には何の恩恵ももたらさなかったのです。

なぜそんな生活様式が一気に世界中で浸透したのか。

それは進化論の考え方が根底にあります。

人類を含め、生物の究極の目標は自分たちの遺伝子のコピーをできるだけ多く残すことです。
そこには個々の人々が幸せに生活できるかは関係なく、種全体としてより多くの遺伝子を残せれば「成功」なのです。

そのため、多くの農作業に生活が過酷になったとしても、より多くの食糧を確保できる農耕牧畜社会へと移行していったのです。

この指摘は読んでいて非常に興味深かったです。
農耕牧畜社会により、人類全体の総量(複製された遺伝子の数)は増加したものの、個々の人々の生活は楽になるどころか、むしろ過酷なものとなった。
そして、この図式は、現代の働き方をめぐる議論でも同じようなことがいえるのではないでしょうか。

「農耕牧畜社会」の働き方をずっと続けていくのか

「農耕牧畜社会」は、現代の社会でいう勤め人(サラリーマン)の生活に近いのではないでしょうか。
ある組織(企業)に所属してその組織のもとで働き、給料という「食糧」を毎月安定的に確保する。

対してフリーランスなどは「狩猟採集社会」の生活に近いと思います。

「農耕牧畜社会」が人口を増加させ、より多くの遺伝子を残しただけで、個々の生活満足度を向上させなかったように、
現代の企業がどれだけ技術が進化して効率的になっても、それによって増加するのは従業員の給料や余暇を楽しむ時間ではなく、企業の帳簿上の利益に過ぎないのではないでしょうか。

進化の通貨は飢えでも痛みでもなく、DNAの二重螺旋の複製だ。企業の経済的成功は、従業員の幸福度ではなく銀行預金の金額によってのみ測られるのとちょうど同じで、一つの種の進化上の成功は、DNAの複製の数によって測られる。

本書を読んでいて、なぜこれだけIT技術が進化しているのに、働く時間は減らず、過酷な労働で死者まで出てしまうのか、その理由が少しわかった気がしました。

僕は狩猟採集民として生きていくことを選んだ

2018年7月、僕は約5年間勤めていた会社を退職し、小林公認会計士事務所を独立開業しました。

そのまま勤めていればある程度将来の給料は予想できるので、生活も安定するでしょう。

独立をすれば、会社に行けば何かしらの仕事があるような状況ではなくなります。

来年の収入はゼロかもしれません。

それでも僕は独立を決意し、仕事を自分から獲りに行かざるをえない「狩猟採集型」の生き方を選ぶことにしました。

この選択が後悔にならないように、これから頑張っていきたいと思います。

「サピエンス全史」を読んで、改めて独立会計士として生きていく決意を固めました。

今日は日曜日ですが、7月1日の開業初日ということで、決意めいた内容を文章にまとめました。

でも自分の考えを文章にするのって難しいですね。。。

以上

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